担保と抵当権その違いと契約書における注意点

借入や融資に関する手続きを進める上で、「担保」と「抵当」という言葉を耳にする機会は少なくないでしょう。
しかし、これらの言葉はしばしば混同されがちであり、その違いを明確に理解していないと、トラブルに巻き込まれる可能性も秘めています。
今回は、担保と抵当の違いについて、法的定義、契約書における記述の違い、そしてそれぞれのメリット・デメリットを分かりやすく解説します。

担保と抵当の違い

担保とは債務履行の確実性を高めるもの

担保とは、債務者が債務を履行しない場合に、債権者が債務者から債権の弁済を受けるための、財産上の権利を確保する制度です。
具体的には、債務者が債務を履行できなくなった場合に、債権者は担保として差し出された財産を処分し、その売却代金から債権を回収することができます。
この担保は、債務履行の確実性を高めるための重要な手段であり、債権者にとってリスク軽減に大きく貢献します。
債権者にとって、債務者が債務を履行する意思と能力が不確実な場合、担保の提供を要求するのは当然のことと言えるでしょう。
担保の種類は多岐に渡り、後述するように抵当権以外にも様々な形態が存在しています。

抵当とは債務不履行時に特定の財産から弁済を受ける権利

抵当とは、担保の一種であり、債務者が債権者に特定の財産を担保として提供し、債務不履行の場合にその財産から弁済を受ける権利を債権者に与える制度です。
抵当権は、物権としての性質を持ち、債権者にとって強い法的保護が与えられています。
抵当権が設定された財産は、抵当不動産として、債権者に対して優先的に弁済の対象となります。
具体的には、債務者が債務不履行に陥った場合、債権者は抵当不動産を競売にかけ、その売却代金から債権を回収することができます。
この際、他の債権者よりも優先的に弁済を受けることができます。

担保は広義の概念で抵当はその一種

前述の通り、担保は債務履行の確実性を高めるための広義の概念であり、抵当はその一種に過ぎません。
担保には、抵当の他に、保証、質権など様々な種類があります。
保証とは、債務者以外の第三者が債務の履行を保証する制度であり、質権とは、債務者が債権者に財産を預け、債務不履行の場合にその財産を処分して債権を回収する権利を債権者に与える制度です。
このように、担保には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
そのため、具体的な状況に応じて最適な担保を選択することが重要です。
契約締結にあたっては、それぞれの担保の法的性質を十分に理解した上で、適切な担保を選択する必要があります。

保証や質権も担保に含まれる

担保の種類を理解することは、債権者、債務者双方にとって非常に重要です。
例えば、保証を選択した場合、債務者だけでなく保証人も債務の履行責任を負います。

一方、質権を選択した場合、債務者は債権者に財産の所有権を一時的に移転することになります。
これらの違いを理解せずに契約を進めると、思わぬトラブルに遭遇する可能性もあります。

担保と抵当契約書での違いとは?

契約書における担保条項の例

契約書において、担保に関する条項は、債務者がどのような財産を担保として提供するか、担保の範囲、担保の処分方法などが具体的に記載されます。
例えば、「債務者は、甲地番地の不動産を本契約の債務の担保として提供する」といった記述が考えられます。
また、担保の種類が具体的に明示されることもあります。

契約書における抵当権設定条項の例

抵当権を設定する場合には、契約書に抵当権設定に関する条項が記載されます。
具体的には、抵当権の設定対象となる不動産の所在地、地番、面積などが明確に記載されます。
さらに、抵当権の設定者、受ける者、抵当権の範囲、抵当権の効力発生時期なども明確に記載する必要があります。
抵当権設定契約では、対象物件を明確に特定することが極めて重要です。

抵当権設定契約では対象物件を特定

抵当権設定契約では、抵当権の目的となる不動産を明確に特定することが必須です。
これは、抵当権が物権であるため、特定の不動産に付随する権利として成立するからです。
そのため、契約書には、不動産の所在地、地番、面積、その他必要な情報が正確に記載される必要があります。
誤った記述があると、抵当権の設定が無効となる可能性があります。

担保の種類によるメリットデメリット

担保の種類によって、債権者と債務者それぞれにメリットとデメリットがあります。
例えば、抵当権は債権者にとって強い法的保護が与えられますが、債務者にとっては財産を失うリスクがあります。
保証の場合、債務者以外に保証人が必要となり、保証人には債務不履行時の責任が生じます。

一方、質権は、債権者にとって財産を直接管理できるメリットがありますが、債務者にとっては財産の利用が制限されます。
それぞれの担保の種類とそのメリットデメリットを比較検討し、契約内容を検討することが重要です。

まとめ

今回は、担保と抵当の違いについて解説しました。
担保は債務履行の確実性を高めるための広義の概念であり、抵当はその一種です。
契約書における記述の違いや、それぞれのメリット・デメリットを理解することで、将来的なトラブルを回避することができます。
契約締結にあたっては、専門家への相談も検討すると良いでしょう。

投稿者

北見 豊
北見 豊
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